~風ブログ~

1.彼岸花の生き残り戦略!  【Homeに戻る】


<<変わった生き方>>
■毎年9月の秋が始まる彼岸頃に開花する彼岸花(曼殊沙華)は実に不思議な植物だ。
■日本では不吉なイメージがある植物であるが発想の転換で普通の草花とは別に独自のライフスタイルを構築して生き残り戦略に成功した勝ち組でもある。
■曼殊沙華は9月中旬にいきなり開花して、受粉すると一旦花は枯れ廻りの草花が枯れ始める初冬に葉が成長し 冬の太陽光を独り占めして光合成を行い栄養を球根に貯め込む。
■やがて春を迎えて普通の草花が芽を出すごろに葉を枯れさせ暑い夏は地下の球根で休息をとり涼しくなる9月中ごろ 地下の球根に貯めた養分を使って開花する。
<<彼岸花はニッチャー企業>>
■このように競争相手の少ない冬に成長することを選択した曼殊沙華はビジネスの世界で言う「ニッチャー企業」的戦略で生き残りに成功していると言える。
■「ニッチャー企業」とは規模が小さくても特定の市場を狙い独自の地位を築くもので、大企業が手を出さない市場で小さな店舗が生き残るような企業戦略だ。
<<巧みな防衛システムでの生き残り戦略>>
■曼殊沙華の花は少しケバケバしい色合いと形がいまいち好きになれないと言う人も多いが、そもそも植物の花は人間に好かれたり喜んでもらうために咲いているわけでない。
■ケバケバしい色合いと形は受粉のため特定の昆虫を呼び寄せるためであったり、生殖に必要な大切な花を警告色で捕食者を寄せ付けないようにしているのかもしれない。
■曼殊沙華の花を生け花で部屋に飾ろうと思う人が少ないのは、すでにこの花の防衛戦略のトリックにはまっているとも言える。
■また曼殊沙華の球根にはリコリンと言う有毒成分が含まれていて、球根1つにはネズミ1,500匹の致死量に相当するリコリンが含まれているそうだ。
■つまり養分を溜め込む大事な球根を守る巧みな防衛システムもすでに獲得していることになる。
■動物や植物は進化の過程で巧妙な生き残り戦略の仕組みを手に入れており色、形、成分などにもそれなりの意味があると言うことだ。
■冬の寒さに耐え日照時間の少なく弱い太陽光を利用して堂々と生きる曼殊沙華に敬意をはらい、これからは曼殊沙華に対する不吉なイメージを払拭しようと思う。
<<彼岸花を1年間定点観測してみる>>
↓【枯草の中からいきなり開花(2019/9/29)】
Natural
↓【高麗川の土手に群生する彼岸花(2019/9/29)】
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↓【花が終わる頃にはすでに葉が出始める(2019/10/20)】
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↓【周りの草が枯れる頃葉が大きく成長(2019/12/22)】
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↓【真冬、霜が下り太陽光を受け更に成長(2020/2/12)】
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↓【真夏、夏草が茂りもはや彼岸花の姿は確認することができない!(2020/8/30)】
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↓【初秋、除草された所をよく見ると今年初めての彼岸花発見(2020/9/13)】
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↓【初秋、夏草が無くなったこのチャンスに一気に開花(2020/9/13)】
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↓【初秋、根元を見ると地中から芽がまさに出ようとしている(2020/9/13)】
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<<1年間の定点観測のまとめ>>
■昨年の9月から1年間彼岸花の生活ぶりを定点観測してきたが、確かに一風変わった生き方をしていることが分かった。
■春から夏にかけての豊富な太陽光を受けて育つ一般的な植物に比べてい、寒さ厳しい真冬をあえて選んで育つ彼岸花の生態は一般常識にとらわれない、まさに逆転の発想の生き方だ。
■重要なのは生き抜くことで、生き方の方法はいろいろあって良いのだ。
■これこそ生物の多様性であり環境が激変しても生物全体が絶滅しないよう、神が考え出したシステムだ。
■人も様々な生き方があって良いし、その中からいろいろな考え方が生まれてくることも一種の多様性とも言える。
■人の真似などしなくて良く、自分が信じる道を行けば良いのだと彼岸花は教えてくれる。

★彼岸花の定点観測は本日で一旦終了です。何か気づいたことがあれば今後追記とする。
<2020.9.14更新:koba84>