津波からの避難
切迫する「津波による危機」から命を守る!
■東日本大震災では津波より多くの犠牲者を出しているが地震発生から津波が押し寄せるまでに場所にもよるが20~30分程度の
余裕があったはずで、「東北地方太平洋沖地震・津波対策に関する調査報告」によると地震後すぐに避難しなかった人たちの行動
パターンは「急ぎの仕事があったのでそれをすましていたから」、「家族を探しに行ったり、迎えに行ったりしたから」、「自宅に
戻ったから」、「過去の地震でも津波が来なかったから」、「津波のことは考えつかなかった」などでいづれも津波への危険意識が
薄かったと思われる。
■人は危機が迫っていたとしても明確な証拠がないとなかなか信じることができず「逃げる」と言う決断ができないと言われている。
人間の脳は自分にとって都合いいことが起きる可能性を過大評価する傾向があって、少々の悲観的証拠があっても現実に
対して楽観的であり続けたいと思う心理が働き、現実を歪めてしまう。
■この結果「大したことにはならないはず」、「自分だけは大丈夫」と言う思い込みをしてしまい目の前で明確な証拠が確認されるまで
現実を認めようとしない。このことを災害心理学では「正常性バイアス」(先入観や偏見で物事が正常の範囲だと自動的に
認識する心の動き)と言うそうだ。
■地震の際に津波の本当の怖さを知ってさえいれば津波に対する「正常性バイアス」など働ないはずであるが、津波は頻繁に
起きることはないので一生の中で1度あるかないか確率であるため巨大津波の被害もやがて忘れられてしまう。先人たちはこのことを
良く知っていて宮古市姉吉地区にある「大津浪記念碑」では「過去何度も大津波がきて部落が全滅しているので、これより下に家を
建てるな」と言う主旨のことが書いてあるが最後の一文に「幾年経るとも要心あれ」(原文のまま)と「けして忘れてはいけない」と
警告している。
■津波から避難のポイントは次表にまとめたのでそれぞれの地域の特殊性を踏まえていざと言うときの避難マニュアルを作成し
家族で共有して普段から理解し合っておくことが非常に重要となる。
基本的対策 | 具体的実施事項 |
---|---|
①津波浸水想定区域の確認 |
①自宅や通勤・通学先及び通勤・通学経路が津波ハザードマップで確認して津波浸水想定区域になって
いるのかを確認する。 |
②避難場所の確認と避難 場所までの経路・所要時間 の確認 |
①津波ハザードマップを基に各自治体が想定している津波の到達時間と津波の高さと最寄の避難場所が何処かを確認する。 |
③自主避難訓練の実施 |
①防災訓練は地域の自治体や町内会レベルで定期的に実施されているが必ずしも実際の避難行動に対して十分な訓練に
なっていない場合もあるので、基本的には自分なりの実践的「自主避難訓練」を定期的に行うことが非常に重要だ。 |
■次の表は地震発生から揺れが収まり津波からの避難する際の「とるべき行動」と「普段の対策」を「巨大地震避難マニュアル」として時系列で
まとめたものであるが読者がいざと言うときのために参考にして頂ければ幸いです。
★印刷する場合は「巨大地震避難マニュアル」を一括ダウンロード(次のボタンを押せばダウンロードできる)して、必要部分を印刷すると
鮮明な資料が印刷できます。
出典・引用・参考資料
【参考文献】
・防災士教本(平成28年7月1日第2版)
・平成7年の警察白書
・東京都発行 平成29年3月「東京都耐震改修促進計画」
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