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津波火災からの避難

切迫する「津波火災の危機」から命を守る

■津波火災とは津波で建物等が流され浸水した地域で発生する火災で本来浸水した所から火災が発生するのは不思議に 思われるが東日本大震災では津波後に大規模な津波火災が発生している。
■津波で流出した家屋や瓦礫が何故出火したかの原因は消防署や大学の研究機関などで調査されているが明確な結論には 至ってはいないものの「①地震直後の地震火災で火災になった家屋が流された」、「②プロパンガスのボンベが流出して噴出するガス に何らかの火花で引火した」、「③自動車が海水浸かりバッテリーの電気系統がショートや短絡して発火した」などが 想定原因とされている。
■東日本大震災では漁船等の燃料になる重油の貯槽タンクが流され破壊されたことにより大量な重油が海に 流出したためこの重油に前述の出火した火が燃え移り大規模な延焼火災を起きている。本来重油は着火しにくい油であるが 流出した重油と家屋や瓦礫が一緒になると家屋や瓦礫がろうそくの芯のような役目をして重油に着火したようである。 津波の後は地域の消防能力が極端に落ちるため津波火災が一度発生すると燃えるに任せる状態になり大火災に発展する可能性ある。
■東京、大阪、名古屋などの大都市の湾岸には発電所や化学プラントなどの工業地帯があり、それらで使われるLNG、ガソリン、 重油、灯油、ナフサなどの危険物貯蔵タンクなどが多数ある。このため今後発生が予想される南海トラフを震源にする地震や 首都直下型地震では貯蔵タンクの破壊や流出で想像を絶する津波火災が発生し湾岸地帯のみならず津波が遡上する河川に沿って 広域な延焼火災へと繋がり、その人的・物的被害は計りしれないものになる可能性もあることを防災対策に盛り込まなければいけない。
■自宅の2階や津波避難ビルで津波を運よく回避できたとしても、津波の後は水が引かない状態が続き簡単に移動できない状況となるが、 そのような状態で津波火災が発生すると津波火災に囲まれ逃げ場を失う可能性がある。このようなことから津波浸水想定区域内に 住んでいる場合は予め津波火災を想定に入れて避難場所を津波浸水想定区域外に決めておくことも必要である。
■津波火災から避難のポイントは基本部分は津波からの避難と同じであるが相違点は避難場所の選定方法で次表に考え方を まとめたのでそれぞれの地域の特殊性を踏まえていざと言うときの「我が家の避難マニュアル」を作成し家族で共有して 普段から理解し合っておくことが非常に重要となる。

【表34-1】津波火災から命を守る基本的対策
基本的対策 具体的実施事項
①津波火災に巻き込まれない避難場所の選定

①津波ハザードマップを基に各自治体が想定している津波の到達時間と
  津波の予想高さを基にした最寄の避難場所をまず確認する。
②想定される津波の到達時間内で他の避難場所へも逃げれれるか津波
  ハザードマップを基に調べもし複数の避難場所候補がある場合は
  次の優先順位で避難場所を決める。
 (1)第1優先:高台の避難場所(背後への二次避難ルートがある場所が最適)
 (2)第2優先:津波浸水想定区域外の津波避難施設、避難ビル
 (3)第3優先:高台や津波浸水想定区域外に最も近い津波浸水想定区域
    内にある津波避難施設、避難ビル、避難タワー(津波の浸水が
    引いたとき津波浸水想定区域外や高台への二次避難の可能性が
    多少ある思われる所)
 (4)第4優先:津波浸水想定区域内で住宅密集地でない場所にある津波
    避難施設、避難ビル、避難タワー
 (5)第5優先:それ以外の津波避難施設、避難ビル、避難タワー
★地方自治体では津波ハザードマップでへ避難場所を公開しているがどの避難場所を利用するかは個人の判断として いる所が多く、少しでもリスクが少ない避難場所決めておくことが自分や家族の生死を分けることに繋がるかも知れ ないことを理解しておく必要がある。


■次の表は地震発生から揺れが収まり津波からの避難する際の「とるべき行動」と「普段の対策」を「巨大地震避難マニュアル」として時系列で まとめたものであるが読者がいざと言うときのために参考にして頂ければ幸いです。
★印刷する場合は「巨大地震避難マニュアル」を一括ダウンロード(次のボタンを押せばダウンロードできる)して、必要部分を印刷すると 鮮明な資料が印刷できます。


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出典・引用・参考資料

【参考文献】
・防災士教本(平成28年7月1日第2版)
・平成7年の警察白書
・東京都発行 平成29年3月「東京都耐震改修促進計画」

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