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延焼火災からの避難

延焼火災の怖さを知っていますか!

■地震に伴い大規模な火災が発生することは過去の巨大地震が物語っているが1923年(大正12年)9月1日に起きた 関東大震災(関東地震)では発生時間が正午に近かったことも有り昼食の食事を作るため火を使用していたことと、 当日台風から変わった低気圧が 通過中で風速10m/s程度の強風が吹いていたこと、そして当時の東京府では江戸時代 からの街並みが至る所に残ったままで超過密状態の木造家屋が密集していた条件が重なり広域な延焼火災が発生している。
■この延焼火災は内閣府発行の「広報ぼうさい(NO.40)」によると当時の東京市だけでも地震後134ヵ所から出火して、 初期消火で鎮火したのが57ヶ所で残した 77ヶ所が延焼火災となり、延焼は市域面積79.4km2の43.6%の34.7km2に 及び21万余棟が焼失し、火災による死者は91,781名と言う甚大な人的被害を出した。
■地震直後から始まる延焼火災からの避難方法に関する研究や資料は意外と少ないことから以下に延焼火災からの 具体的避難のポイントをまとめたので参考にされたい。ただし延焼火災からの避難は刻々と変わる風向きや道路・建物の 地震動による被害状況を現場で判断しながら最適な避難経路を選択し避難場所まで避難する必要があり、人の後を ついて行けば良いと言う単純な行動ではないことに注意する必要がある。特に東京や大阪他の住宅密集地での避難は 困難を極めることも覚悟しなければならない。

【表35-1】延焼火災から命を守る基本的対策
基本的対策 具体的実施事項
①自宅や通勤・通学先の危険度を知る

①自宅や通勤・通学先で地震に遭遇した際にその場所が地震動や延焼火災に対してどの程度危険なのかをまず知る 必要がある。特に大阪や東京の住宅密集地では危険な個所 (地震時に著しく危険な密集市街地)が国土交通省のホームページで紹介されているので確認 しておく必要がある。
②但し、前述の「地震時に著しく危険な密集市街地」だけが危険で、それ以外の地区は安全と言うわけではなく 東京や大阪などの住宅密集地では基本的に延焼火災の危険性が常にあると理解しなければならない。 昭和51年10月の酒田市や平成28年12月の糸魚川市の大火見れば住宅密集地で強風下(いづれも風速12m/S以上)と 言う条件がそろっただけでも大規模延焼火災を引き起こしており、巨大地震の際は100個所を超える出火が 同時多発で発生すると言われており消防力を遥かに超える事態となったとき、延焼火災は際限もなく伸展する。 延焼火災の恐怖とはまさにこのときの状態で逃げ遅れれば関東大震災と同じように多くの焼死者を出すことになる。
③東京都では23区の建物倒壊、火災、避難や消火・救助活動の困難度を総合危険度として5段階評価して 地域危険度マップとしてネットで公開しているのでこちらも参考される良い。
★東京都が公表している 「総合危険度上位100」のデータも併せて参考にされたい。

②避難場所の確認と「我が家の避難マップ」の作成

①避難場所の確認
・延焼火災の避難場所は津波の避難場所とは違い延焼火災から人命を守れる場所で、延焼火災の輻射熱や煙を 避けることができる一定規模の空き地が必要で各地域ごとに行政が定めているので指定されている避難場所普段から 確認しておく必要がある。
②避難経路の確認
・避難場所までの経路は実際に歩いてみて確認しておく必要があり最短ルートだけでなく家屋の倒壊や火災で 通行不能な場合など不測の事態を想定して複数の経路を普段考えておく必要がある。
・最悪の事態で指定された避難場所方向に行けない場合も想定して別な第2,3の避難場所までの経路も確認しておく必要がある。
③「我が家の避難マップ」の作成
・避難場所や避難経路を確認したらその情報を地図に記入して「我が家避難マップ」(以下避難マップと言う)を作成する。 地震時は広域停電で特に夜間は目標になるものが分かりにくくなるので、地図は唯一頼目標になる交差点名記載しておくと良い。
・また延焼状況を判断しながら主要な交差点で目的地に向って直進できるか、左右どちらかに迂回するか一旦後退して迂回等 するかの判断することを予め決めておくのもより安全に避難できるポイントになる。
④自主避難訓練
・避難マップが完成したらこのマップを使用して実際に模擬避難訓練を自主的にやってみることが重要で避難場所まで 実際に歩きかかる時間を確認しておく必要がある。
・定期的に家族全員で避難訓練を行うことも重要で全員で行動するといろいろな問題点がでてくるので、その対策を行って おこことがいざと言うとき家族全員が無事避難できる重要なポイントになる。
・実際の避難では地震後多くの避難民が一斉に避難を開始し道路は大群衆でいっぱいになることが予想されるが群集の流れに ついて行くのではなく予め自分で作成した避難マップに従って冷静に行動することが重要だ。(何度も自主避難訓練をする中で 避難マップを見なくても臨機応変の行動ができるのが理想)
・また当日の風の強さにもよるが関東大震災の延焼状況などデータによると最初の1時間以内で安全な場所までたどりつけないと 延焼火災に取り囲まれる危険性がその後の時間経過と共に急激に大きくなることを覚悟しておかなければならない。

③防災用品の備付け

①緊急脱出用品の備付け
・屋外に避難する際に地震で開かなくなった扉をこじ開けたり家具等の下敷きになった者を救助するため玄関付近に バールや大ハンマー等の緊急脱出用品を備付けする。(詳細は以下の「巨大地震避難マニュアル」をダウンロードして確認下さい)
②非常持出し用品の備付け
・避難時に必要な最低限の持出し用品はリックサックに詰込みいつでも素早く持ち出せるよう玄関付近に備付けると良い。(詳細は以下の 「巨大地震避難マニュアル」をダウンロードして確認下さい)
③避難生活用品の備付け
・大都市で巨大地震が発生下場合は膨大な避難民が発生し特に地震後2日程度は行政支援は当てにできないため自宅や空き地で 暫定的避難生活をする必要が出てくる。この際の水や食料、簡易トイレなどを最低3日出来れば7日分備蓄しておくと必要がある。 (詳細は以下の「巨大地震避難マニュアル」をダウンロードして確認下さい)


■次の表は地震の揺れが収まるり地震火災から逃れる「とるべき行動」と「普段の対策」を「巨大地震避難マニュアル」として時系列で まとめたものであるが読者がいざと言うときのために参考にして頂ければ幸いです。
★印刷する場合は「巨大地震避難マニュアル」を一括ダウンロード(次のボタンを押せばダウンロードできる)して、必要部分を印刷すると 鮮明な資料が印刷できます。


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出典・引用・参考資料

【参考文献】
・防災士教本(平成28年7月1日第2版)
・平成7年の警察白書
・東京都発行 平成29年3月「東京都耐震改修促進計画」

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